足のしびれ
正座などで血行が滞って一時的に起こるしびれは自然なもので心配ありませんが、理由が思い当たらない足のしびれが繰り返し起こる場合には疾患が隠れている可能性があります。 特に、正座などをしていないのに足がビリビリしびれる、腰痛があって足にしびれが起こることがある場合は、注意が必要です。しびれは整形外科疾患で生じることが多い症状であり、進行すると日常生活に大きな支障を及ぼすことがあります。また、脳卒中などで起こっている可能性もあります。繰り返す足のしびれがある場合には早めに整形外科を受診して原因を確かめることが重要です。
原因となる疾患
神経や骨の病気
足のしびれは、神経や骨などが原因となって生じる整形外科疾患で生じることの多い症状です。
腰椎椎間板ヘルニア
縦に積み上がった背骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板が変性して突出し、神経が通る脊柱管を圧迫して腰痛やしびれを起こします。足やお尻の方にしびれを生じることもよくあります。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
背骨の中心には脊髄という神経が通るための脊柱管があります。この脊柱管が狭窄し、中を通る神経が圧迫されて痛みやしびれを起こします。特徴的な症状に、休み休みでなければ歩けない間欠性跛行があります。しびれや痛みが片足に起こり、やがて両足に広がることもあります。
頚椎症(けいついしょう)
背骨の首の部分の骨が加齢による変形を起こし、それによって神経が圧迫されて症状を起こします。圧迫が生じている部位によって症状を起こす場所が変わってきます。進行するとしびれによって、手で細かい作業ができなくなる、足がしびれてうまく歩けなくなるなど、日常生活に支障を及ぼします。
足根管症候群
内くるぶしの部分で足の裏につながる神経が圧迫され、踵以外の足裏から足指にかけて痛みやしびれを生じます。足裏にゴミがついているように感じ、確かめてみるとなにもついていないといった症状が現れることもあります。なお、足の甲や足首にはしびれを起こしません。
整形外科疾患以外の病気が原因となる足のしびれ
整形外科疾患以外にも足のしびれを起こす疾患は下記のようなものがあります。
脳血管障害
脳出血や脳梗塞といった脳卒中で、手足のしびれを起こすことがあります。動けなくなる、意識が薄れる、呂律が回らない、吐き気や嘔吐、激しい頭痛などをともなうことも多くなっています。命を守るために、速やかに適切な治療を受けることが重要な病気ですので、疑わしい症状がある場合はただちに救急処置が可能な病院を受診してください。
糖尿病性神経障害
糖尿病では、高血糖が続くことで神経が傷付く合併症を起こすことがあります。足先や指先などの末梢で症状を起こしやすく、足先のしびれ、冷え、足の裏の違和感などが初期症状として現れることが多くなっています。糖尿病でこうした症状に気付いた場合には、すぐに主治医を受診してください。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によって起こる血管障害です。主に足の血管に起き、血管の狭窄や閉塞によってしびれやむくみ、痛みを起こします。休み休みにしか歩けない間欠性跛行も起こることがあります。潰瘍や壊疽を起こす可能性もあり、さらに全身の血管の状態も悪化していると考えられることから、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクも高い状態です。
受診の目安とポイント
足のしびれが繰り返し起こる場合、そして他の症状もある場合には早めの受診が必要です。整形外科疾患で起こっている可能性が高いので、まずは整形外科受診がお勧めできます。なお、当院では、診察や検査で脳神経科などの診療科の受診が必要と判断した場合には、連携している医療機関をご紹介いたします。