軟骨損傷とは
スポーツや事故などで大きな力が関節にかかり、関節の軟骨組織が損傷・欠損を起こしている状態です。関節の軟骨は骨の表面にあってクッションの役割を果たすことからとてもなめらかで弾力性があり、スムーズな動きをサポートして衝撃を吸収し、骨などへのダメージを防いでいます。 強い外力がかかって関節の軟骨組織の損傷や欠損を起こすと、衝撃がダイレクトに骨へ伝わってしまい、痛みや炎症などの症状を起こします。 軟骨には血管がない部分が多く、自己修復が難しい組織です。損傷の自然治癒が望めないため、機能の回復や痛みの解消には手術が必要になるケースが多いです。
軟骨損傷の原因
スポーツや事故で生じる関節内骨折や脱臼、靱帯損傷などによって生じることが多く、成長期には外傷やスポーツ活動での過度な負荷により発症することがあります。また、関節が骨の表面をつけたまま剥離してしまう離断性骨軟骨炎によって起こることもあります。
軟骨損傷の症状
小さな損傷・欠損の場合には動かした際の軽い痛み程度しか起こらず、時間経過によって症状がなくなることもあります。ただし、放置していると軟骨の剥離が進んで重い症状を起こし、変形性膝関節症の発症リスクが上がってしまう場合もありますので注意が必要です。 損傷や欠損を起こした部位、範囲、程度、遊離軟骨片の有無や大きさなどによって、症状が大きく変わります。 主な症状には、関節の痛み、曲げ伸ばしの際の引っかかり感、関節がずれるような感じなどがあり、遊離軟骨片が関節に挟まると曲げ伸ばしができなくなるロッキングを生じることもあります。また、関節水腫を起こし、関節に骨液がたまることもあります。
軟骨損傷の治療
症状の強さや損傷の程度・範囲・部位などを正確に把握し、患者様の年齢やライフスタイルなども考慮しながら相談して治療方針を決めていきます。
保存的療法
軽度の症状しか起こさず、損傷や欠損が進む可能性が低い場合には、局所の安静、装具を使った治療、ヒアルロン酸の関節内注射などを行います。
手術治療
外傷による大きな損傷は、急性期であれば吸収ピンや骨釘による再接着が期待できる場合がありますが、可能なケースはまれであり、ほとんどの場合には再生・再建手術が行われます。ただし、再生・再建手術は十分な効果を得られない可能性もありますので、リスクとベネフィットをしっかり理解した上で選択することが重要です。