アキレス腱断裂とは
アキレス腱は踵の骨とふくらはぎの筋肉をつなぐ太い腱で、アキレス腱断裂は全てが切れてしまう完全断裂と、一部が切れる部分断裂があります。壮年期の発症が多い傾向がありますが、幅広い年齢で発症します。若い世代にはスポーツやダンス中のジャンプ・ターン・ダッシュなどの際に生じやすく、高齢者の場合は日常的な動作によって生じることがあります。腱が切れる瞬間に、「バン!」「ブチッ!」という音や叩かれるような衝撃を感じることがあります。痛みが強いと歩けなくなりますが、痛みが弱いケースではなんとか歩行できる場合があります。ただし、つま先立ちができず足を引きずるような歩き方になります。
アキレス腱断裂の原因
スポーツやダンスなどの際に生じるケースが約9割を占め、残りは高齢者が階段を踏み外したり転んだりした拍子に生じるとされています。アキレス腱は、蹴る動作をコントロールしている腱で、ジャンプやターン、ダッシュ、つま先立ちなどスポーツやダンスでの動作によって断裂が起こることが多くなっています。種目では、テニス・バドミントン、バレーボールによる受傷が多くなっています。 高齢の方に生じるアキレス腱断裂は、加齢によるアキレス腱の変性変化によって柔軟性が低下し、筋力の低下などが関与して生じると考えられています。
アキレス腱断裂の症状
断裂した瞬間に、ふくらはぎを思い切り叩かれた感じの衝撃や、ブチッという破裂するような音がすることがあります。断裂を起こすと、断裂した足に体重をかけることができません。軽度の断裂の場合にはしばらくすると足を引きずりながら歩けるようになることもあります。足首は動かすことができますが、つま先立ちはできなくなります。
アキレス腱断裂の診断
通常のX線検査では異常を認めることができないケースがほとんどですが、問診や触診などで診断できます。 触診では断裂部にはっきりとしたへこみを認め、患部には圧痛があります。うつ伏せになって膝を直角に曲げ、ふくらはぎを強くつまむと正常時には足首の関節が動いてつま先が上下しますが、アキレス腱断裂を起こしている場合にはこうした反応がみられなくなります。 なお、詳細な情報が必要な場合には、超音波検査やMRI検査を行うこともあります。
アキレス腱断裂の治療
手術を行わない保存的療法と、縫合手術に分けられます。長期的にみると回復の程度に差はなく、リスクやベネフィットを理解した上でご自分にあった選択をすることが重要です。
保存的療法
アキレス腱に負担がかからないようギプスや装具を用います。痛みや再断裂を避けることが重要です。断裂の状態によって治療のスケジュールは変わってきますが、一般的に約3か月で正常な歩行が可能になり、スポーツへの復帰は約6か月以降となります。
手術療法
治療中に再断裂を起こすリスクが低く、早期からリハビリテーションが可能なことから全身の筋力や可動域などの運動機能低下も少なくなります。こうしたことから、早期の復帰を希望するアスリートなどが選択するケースが多くなっています。術後は装具で負担を軽減させます。一般的に正常な歩行は術後2か月に可能となり、スポーツへの復帰は約6か月以降となります。